カワセミです!
Amazonで出品を始めて、最初の方で結構戸惑うのが「引当金(ひきあてきん)」ではないでしょうか?
「売上は順調に上がってるはずなのに全額入金されない?」
そう思われるかもしれませんが、この引当金部分は入金が後ろにずれこんでいるだけなのでご安心ください。
この引当金というのは売上代金の一部留保(アマゾンに拘束されている状態)です。
売上商品に購入者から返品リスクエストがあった場合、この引当金を原資として払い戻しが行われるため、一定金額を拘束されているという事です。
つまり、返品のリクエストがなければ次回の振り込みで引当金も回収されることになります。
この記事の目次
引当金で留保される金額は?
そもそもですが、引当金が設定されるアカウントとされないカウントがあります。
以前は引当金の仕組みがなかったのですが、規約変更により「2016年8月」以降に開設されたアカウントについて引当金が設定されるようになりました。
つまり、新規アカウントはもれなく引当金が設定されてしまうという事です。
引当金の金額は対象取引の50%~100%です。
どうやら引当金の引き当て割合は扱っている商品やアカウントにより違うようです。
50%という人もいますし、100%の人もいます。
ちなみに僕は100%の引当金が設定されています。
引当金で留保される期間(引当金の対象取引)は、「個別注文の最新のお届け予定日から7日間が経過するまで留保されます」とAmazonのセラーセントラルヘルプで説明されている通り7日分です。
ただ、実際にはAmazonの支払いサイクルは2週間(14日)に一度なので「支払いをリクエスト」をしないと7日以上拘束されるので、最短で7日という事になりますね。
「支払いをリクエスト」に関しては後段で解説しています。
支払いサイクルの起点はそれぞれのアカウント開設日なので、人によって違います。
例えば①7月17日と7月31日が支払日、②7月24日と8月7日が支払日、この2つのケースで7月31日(月末)時点の引当金の金額のを見てみましょう。引当金の割合は100%で計算しています。
①のケース
到着予定日 | 金額 |
7月16日 | 1,000円 |
7月18日 | 1,500円 |
7月21日 | 2,000円 |
7月28日 | 1,200円 |
7月30日 | 3,000円 |
まず、支払日が月末に来るケースでは、月末の引当金の金額は「個別注文の最新のお届け予定日から7日間が経過するまで留保されます」という7日間分と一致することになります。
上の例で行くと、7月16日の売上は7月17日の支払日から見て7日以内なので、7月17日の段階では引当金として留保されていて支払われていません。
この1,000円は7月31日の支払いで支払われることになります。
一方で、7月31日の支払日を起点として考えた場合、7日間の拘束は7月25日~7月31日までになるため、7月28日の1,200円及び7月30日の3,000円の合計4,200円が「引当金」となります。
月末と支払日7月31日は重なっているため、月末に留保されている引当金は同じく4,200円で7日間分の売上と一致することとなります。
7月31日の支払日には7月17日時点で引当金であった1,000円と、7日間の拘束期間外の7月18日の1,500円、7月21日の2,000円の合わせて4,500円が支払われることになります。
②のケース
到着予定日 | 金額 |
7月16日 | 1,000円 |
7月18日 | 1,500円 |
7月21日 | 2,000円 |
7月28日 | 1,200円 |
7月30日 | 3,000円 |
8月3日 | 3,300円 |
一方で、7月24日と8月7日が支払日のケース②で見てみると話が変わってきます。
8月まで食い込むので上記に8月の取引を1件追加しています。
まず7月16日の取引は、7月24日の支払日から起算して7日以上前なので引当金とはならず7月24日に1,000円の支払いが起きます。
7月18日、7月21日の取引それぞれ1,500円、2,000円は7月24日の時点では引当金として留保され、8月7日の支払い時に支払いがなされます。
7月28日、7月30日は8月7日から起算すると7日以上前なので8月7日に支払われることになります。
8月7日に引当金となるのは8月7日から7日以内の8月3日の取引3,300円のみになります。
ここで最大のポイントなのですが、7月末で考えた場合、引当金として留保されているのは7月18日~7月30日までの取引で7,700円になるという事です。
言い方を変えると、月末に引当金として留保される期間はその月内の前回の支払い日までの日数+7日間になるという事です。
アマゾンの支払いは2週間に1度のペースなので、こういう事が起きてしまいます。
ケース①では7月中支払いは合計で4,500円、7月末引当金は4,200円でした。
ケース②では7月中支払いは合計で1,000円、7月末引当金は7,700円でした。
どうでしょうか、先ほどと比べると随分7月中の支払金額、7月末の引当金額が変わってきていることがわかると思います。
このように月末に引当金となる金額は支払日によって異なる点がポイントです。
引当金を仕訳で表すとどうなる?勘定科目は?
また、
「帳簿上で引当金に関して仕訳はどうするの?科目は何を使うの?」
という疑問がネット上で散見されたので補足しておくと、引当金の勘定科目は「売掛金」が一番しっくりくると思います。
アマゾンにとっての留保額は我々にとっての将来の回収予定額なので、売り掛けている(後払いにしている)状態なので、売掛債権という事になり、勘定科目は余計なことをせず「売掛金」のままでいいかなと。
仕訳にすると以下の通りです。
売掛金××円/売上××円
以下は完全に余談なので、興味のある方だけ。
簿記や会計に親しみのある人だと、会計上(税務上含む)では「引当金」という勘定科目があるので余計に混乱するかもしれません。
そもそも会計用語での「引当金」というのは、将来の費用や損失のうち当期に帰属するものを見積もって当期の費用・損失として処理するもので、その費用・損失に対応する負債のことを意味します。
しかも計上できるのは、発生の可能性が高くて、金額を合理的に見積もれる場合です。
その場合以下のような仕訳が計上されます。
引当金繰入××/引当金××
引当金繰入は費用項目、引当金が負債項目です。
じゃあ、アマゾンの引当金がこの引当金の要件を満たすかというとかなり意味がずれてきます。
期末日と支払日の関係で引当金の残高が大きくなったり小さくなったりするので、本来的な引当金の意味とマッチしません。
そもそもアマゾンが勝手に7日間拘束しているだけなので、全然見積もりが合理的ではないですしね。
新品、中古、家電、書籍などなど、扱う商材がセラーによって全然違っているので返品の発生する可能性も全然セラーによって違います。
さらに言うと、現在税務上で認められている引当金は返品調整引当金と貸倒引当金だけですが、引当金の計上が認められるという事はその期の税金が減ることを意味するので、税務上の引当金の要件は厳しいです。
話をまとめると、規模も小さく、雑所得で申告している個人の副業レベルではほぼ関係のない話です。
Amazonに拘束されて引当金って言われている部分も、何事もなければ次の支払いで回収できるので、普通に売掛金でOKだと考えます。
引当金を解除する方法や明細を確認することはできるの?
では、
「引当金の設定をしないことはできるのか?」
「引当金の明細(どの取引が引き当てられているのか)は確認できるのか?」
というと、結論から書くとどちらもできません。
引当金は解除できないけれど支払いを速めることはできる
先ほども少し触れましたが、引当金は比較的新しいAmazonアカウントにはもれなくついていて、それをなくすこと・解除することはできません。
購入者の返品に備えて否が応でも7日間は拘束されてしまいます。
ただ、先ほどの段落で解説した通り実際に資金が拘束されるのは支払日が14日間隔である影響で7日間よりも長くなります。
これを、実質の拘束期間7日間にする方法はあります。
それは、毎日セラーセントラルで「支払いをリクエスト」することです。
Amazonでは通常は2週間に1度の支払いですが、リクエストすれば毎日でも振り込みをリクエストすることはできます。
ただし、引当金として拘束されていない部分なので、7日間の拘束は依然として残ります。
支払日の関係で7日間+αで拘束されている、+αの部分をなくす効果はあるという事です。
「支払いをリクエスト」の方法は以下の通りです。
セラーセントラル→レポート→ペイメント→決済済みの残高をクリック→右上の支払いをリクエストをクリック→今すぐ振り込むをクリック
引当金の明細を確認することはできないけれどあたりをつけることはできる
これはすごく不便だし、不親切なのでぜひ改善してほしいなと思っていることなんですが、引当金の金額の明細レポートや内訳を確認する方法ってないんですよね。
ずーっとその方法を探していて、全然見つからないのでアマゾンのテクニカルサポートに聞いてみましたが、やはり確認することはできないそうです。
以下はテクニカルサポートからのメールを一部改変・抜粋したものです。
ーーテクニカルサポートからの返答ーー
カワセミ様
お問い合わせいただき、ありがとうございます。
誠に恐縮ではございますが、引当金の内訳を確認するためのレポートなどは現状ご用意がなく、内訳に関してはご確認いただけない内容となっております。
ご要望にお応えできず大変心苦しく存じますが、何卒ご容赦いただきますようお願い申し上げます。
今後とも、Amazon.co.jpをよろしくお願いいたします。
ーーーーーーーーーーー
ちーーん。。
帳簿をつけているとどの取引が引当金の対象になっているのか知りたいので、内訳を確認できないのってかなり微妙なのでこれは見れるようにしてほしいなと思います。
やっぱり数字をバシッと確認できないと気持ちが悪い・・・。
ただ、期間別トランザクションレポートで大体のあたりをつけることはできます。
期間別トランザクションレポートの詳しい解説はこちらの記事が参考になると思います。
期間別トランザクションレポートというのは、このように指定期間の取引内容がわかるレポートです。
「日付も入っているので、引当金も7日分取ればわかるんじゃない?」
と思われるかもしれませんが、この日付は「売上計上日(発送日付)」なので、引当金のキーとなる到着予定日ではないんですよね。
ただ、発送日と到着予定日ってそれほどズレることはないので、この日付をもとに当たりをつけることはできます。
月末で引当金を見るなら、月末日からその月内の最後の振込日までとその振込日から7日前までで取引を合計すれば大体の引当金額はわかります。
例えば月末が支払日ならその月の最後の振込日までは0日なので0日+7日=7日、月末から7日前までの出荷分を合計するとおおむねの金額は把握できます。
また、例えば27日が支払日なら、31日~27日までの5日+7日=12日、月末から12日前までの出荷分を合計するとおおむねの金額は把握できます。
あくまでざっくり計算しかできませんが、見当違いの数字ではないことの確認には役に立つと思います。
ただやっぱりアマゾンが引当金を設定するなら、引当金の明細確認はできるようにしてほしいですよね・・。
引当金で気を付ける点
このように何もしなければ実質7日以上の資金が拘束されてしまう引当金ですが、気を付けるべきは資金ショートです。
引当金はそれを見るタイミング(月末?一定の日?)で金額や日数が異なることになりますが、いずれにしてもリクエストしなければアマゾンの支払い間隔である14日間は売上金が入ってこないという事です。
物販では、売上によって得たCashを次の仕入に回すため、常にこの資金ショートの問題は付いて回ると思います。
そのリスクを回避するためには、日々「支払いをリクエスト」して最初の拘束期間である7日間にし続けるというのも1つの手です。
ただ、僕はリクエストをしていませんし、そもそもリクエストをしなければ回らないような資金繰りで進めるべきではないと思っています。
アマゾンを販路として利用しているのはもちろん企業もありますが、個人でやっていたり、副業でやっている人も多いと思います。
副業でやっているとついつい忘れがちですが、この2週間に1度の振込って、ビジネスの世界で考えたらそもそもめちゃくちゃ早い方ですよね。
企業がモノを売っている場合、大体は月に1度まとめて入金ですし、そもそもそれも3か月前の売上分(3か月サイト)などの取引は当たり前です。
だから14日の拘束であっぷあっぷな状態はかなり危ないので、いかに引当金を早く回収するかよりも、それを考えなくてもいいようなやり方をとる方が大切だと思います。
まとめ
今回はAmazonの引当金に関する記事でした。
アマゾンの引当金は、アカウントにより設定されていたりされなかったりと、不平等感はありますし、明細を確認できないのはいただけないなとは思います。
ただ、それを言っていても始まらないので、引当金の内容を理解して、大体のあたりをつけられたうえで、そもそも引当金の回収を早めなければ回らないような状態にならないように気を付けることが大切だと思っています。
この記事が何かの参考になれば幸い。それでは!
Amazon出品の強い味方
参考記事